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【講座概要】
20世紀フランス哲学を代表する哲学者ジャック・デリダ(1930-2004)。彼が生み出した「脱構築」という概念は、今日では「二項対立の相対化」といった図式で広く知られています。
しかし、それはなぜ、いかにして生まれなければならなかったのでしょうか?
軸となるのは、デリダの思考を貫く二つの問題系——「懐疑/還元の徹底」と、その障害として立ち現れる「言語」です。
疑い得るものをすべて疑い、最も確実な起点を見出そうとする運動(還元)が、なぜ「言語」という消し去れない残余に出会い、やがて言語に潜む形而上学の摘発(グラマトロジー)へと結実していくのか。本講座では、出版された主著だけでなく、近年刊行が進む初期講義録や草稿といった一次資料を紐解きながら、脱構築が誕生する真のインパクトを追体験します。
入門編でありながら、研究の最前線の熱量に触れられる本格的な哲学講座です。
哲学史の予備知識がない方でも、既知の一点(デカルトの「われ思う、ゆえにわれあり」)から出発し、無理なく現代思想の核心へ到達できる構成となっています。
【スケジュール】
第1回(9/3) 脱構築のはじまりーー懐疑の徹底
デカルトの方法的懐疑を出発点に、確実な地歩を求める現象学の運動(還元)は、その徹底がある問題を生み出してしまいます。すなわち、還元を徹底しようとするとき、なぜ消し去ることのできない「言語」という障害が現れるのか。第1回では、脱構築が生まれるその起点にある問題を紐解きます。
主なテキスト
デリダの修士論文『フッサール哲学における発生の問題』
1960–61年講義「思考すること、それはノンと言うことである」
中⾕碩岐「デリダは『フッサール哲学における発⽣の問題』において⾃⾝の企図を完遂しているのか」『フッサール研究』第 23 号、2026 年
中⾕碩岐「ジャック・デリダのデカルト主義」『フランス哲学・思想研究』第 31 号、2026 年
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第2回(9/10) 還元に内在する言語ーーフッサール・フィンク・ハイデガー
第1回で予告した「障害としての言語」を、フッサール、フィンク、ハイデガーという三人の思想家の言語論を参照し、立体的に明らかにします。そして、これらの言語観が「言語は懐疑の外部にあるのではなく、還元の内側にすでに働いている」という一つの洞察へと収斂することを理解します。本講座でも抽象度の高い内容のため、身近な例(内語・録音した自分の声)から考えてみましょう。
主なテキスト
中⾕碩岐「前期デリダのフッサール読解における正常性の問題」『現象学年報』第 40 号、2024 年
中⾕碩岐「『声と現象』における⼆重のフィンク受容」『現象学年報』第 42 号、2026 年
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第3回(9/17) 言語に内在する形而上学ーー『グラマトロジー』の構想
「還元に内在する言語」が、実は、「現前の形而上学(音声中心主義)」という前提を抱えていることを摘発します。この摘発こそグラマトロジーの構想を可能にするものであることを確認しましょう。フーコーとの対決を経て、文字こそが言語一般の条件であるという逆転が脱構築の誕生を導く、本講座のクライマックスをご体験ください。
主なテキスト
中⾕碩岐「前期デリダの現象学受容におけるフーコーの位置付け」『フランス哲学・思想研究』第 28 号、2023 年
中⾕碩岐「前期デリダのフッサール読解における正常性の問題」『現象学年報』第 40 号、2024 年
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第4回(9/24) デリダ研究の最前線ーーアーカイブ・講義録・デジタル人文学
これまでの全3回の内容を、脱構築が誕生するに至る「二つの軸が出会う物語」として振り返り、それが現在、最先端のデリダ研究において、どのように研究されているのかを、プリンストン大学デリダ文庫所蔵の草稿研究をはじめ具体的に紹介します。これにより、現在進行形で研究され続ける哲学者デリダの姿をお伝えします。
【講師プロフィール】
中⾕ 碩岐(なかたに ひろき)
大阪大学人間科学研究科博士後期課程、日本学術振興会特別研究員DC1。専門は20世紀フランス哲学(ジャック・デリダ)、現象学。デリダの講義録草稿の研究や、デジタル人文学的手法のデリダ研究への応用に取り組む。日本哲学会優秀論文賞、人間科学研究科賞ほか受賞。共編著に『出来事の記録と生の記憶:クロード・ランズマン『SHOAH』をみる』、訳書に『カトリーヌ・マラブーの哲学』(読書人)など。
※デリダの鍵概念である「脱構築」について入門的に知りたい方から、最先端のデリダ研究に興味のある専門的な方にまでおすすめの講座内容です。